声の出る仕組みについて

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声はどのようにでるのでしょうか?

音は空気の振動です。したがって声であれ楽器であれ、音を出すためには振動しなければなりません。
ヒトでは喉頭(ノドボトケ)にある声帯が発声の音源として振動します。

声帯ってどんなもの?

声帯は左右2本のヒダ状で、中身は筋肉・靭帯、表面は粘膜でできています。
実際に発声に関与するのは声帯膜様部と呼ばれる前2/3の部位です。
この膜様部の中央あたりがもっとも大きく振動する部分で、左右の声帯が激しく衝突することになります。
喉頭には声帯を寄せたり拡げたりする筋肉、前後(長軸方向)に引っ張る筋肉、声帯自身を厚くしたり薄くしたりする筋肉(内喉頭筋)があります。

声帯はどのようにして振動するのでしょう?

音の鳴るもの、まず楽器で考えてみましょう。弦楽器では弓で擦る(バイオリン)・爪ではじく(ギター)・鍵盤楽器ではハンマーで叩く(ピアノ)ことで鳴らします。打楽器ではバチで膜や木・金属を叩きます。木管楽器ではリード(薄い板)を呼気流で震わせます。金管楽器では呼気流で唇を震わせます。このように音源を振動させるにはそれ相応のエネルギー(駆出力)が必要です。
さて、声帯はどうでしょう。唇を震わせる金管楽器やオーボエのような2枚リードの木管楽器が一番近いようです。肺からの呼気が気管を通って声帯の間(声門間隙)を通りぬける時、声帯を振動させます。

大きな声を出すには?

ラッパを強く吹けば大きな音がでます。つまり呼気流が強ければ大きな声になります。実は声帯振動の駆出力は呼気流ですが、この呼気流を生み出すのは声帯(声門)の上(咽頭・口腔)と下(気管)の気圧の差です。この気圧の差を声門上下圧差といいます。この声門上下圧差を大きくすれば大きな声が出せるということになります。
この気圧差を大きくする方法には大きく分けて2つあります。ひとつは肺からの呼気の量を増やす方法です。横隔膜を強く押し上げることで可能となります。もうひとつは声門抵抗を上げます。声門を強く閉めることで可能となります。水道に例えますと、蛇口の栓を開くのが前者、ホースの口を細くするのが後者です。どちらも遠くまで水を飛ばすことができます。

声の高さはどの様に変えるのでしょう?

音源(声帯)の振動という面では金管楽器に近いと述べましたが、金管楽器や木管楽器では管の長さを変化させて音程を調節します。ヒトでは、まさかノドが伸び縮みするわけにもいきませんし、ほっぺたに孔を開けるわけにもいきません。そうなったら気持ち悪いですよね。
音程調節に関しては、弦楽器に近いと思います。弦が短くなり、細くなり、強く引っ張れば高音になり、長く、太く、緩くなれば低音になります。でも声帯は一対しかありません。長さも1センチ程度で、2倍も3倍も変えることはできません。ちなみに、長さが2倍で1オクターブ変わります。(ギターで1フレットは半音で、12半音で1オクターブですから12フレット分になります。)ヒトは声帯の長さ(実際は張力)と厚みを変えて音の高低の調節をします。
女性の通常の会話では周波数は毎秒200回程度で、裏声を駆使しますと毎秒8000回程度も可能で、(但し、プロはこの限りにあらず)5オクターブ以上になります。ギターは6本の弦を持ちますが、3オクターブちょっとくらいでしょうか。

つまり、ヒトは声帯という、何種類もの異なった太さ長さ張力の弦を揃えている楽器を持っていることになります。声帯の長さ、厚みを変える働きをするのが内喉頭筋ですが、歌っているところを想像してみてください、一瞬にして声帯の形を変えねばなりません。それにもうひとつ、先ほども述べましたとおり、声帯は普通の会話でも毎秒100~250回程度の振動を行っています。声帯もそれを動かす筋肉も微妙でしかも過酷な仕事を担っていることがお解かりいただけるでしょうか。

いい声を出すために

芸術的なことはさておき、要は声帯が滑らかに振動することです。そのためには声帯に適度なハリがあって適度な軟らかさがあることが重要です。静かな水面にそよ風が吹けば小さな波ができて波紋がひろがりますよね。
声帯の振動というのは、水面に広がる波紋のように、声帯の下方でできた粘膜の波頭が次々と上方に押しよせてくるものです。これを粘膜波動といいます。
まず、ブヨブヨの水ぶくれのような声帯を想像してみてください。波はたっても高速回転についていけそうに思えません。また、声帯が踵の皮膚のようにカチカチに硬かったら波頭は消えてしまいますよね。
池に氷が張っていたらどんなに強い風が吹いても波紋はできません。声帯がカサカサに乾燥していたらどうでしょう。潤滑油がなければ高速回転は不可能で無理をすれば壊れます。また、干上がった池に風が吹いても波紋はできません。
ブヨブヨでもカチカチでもカサカサでもダメということです。
さて、前述の『大きな声の出し方』ですが、横隔膜を強く押し上げる方法と声門を強く閉める方法ではどちらがいいでしょうか。理屈を抜きにしても前者がよさそうに聞こえます。後者は左右の声帯が無用にぶつかり、負担をかけることになります。

環境因子

いい声には環境も大切です。ノドに悪そうだなと感じることはやっぱり悪いのです。
列挙します。低温・乾燥・汚い空気です。低温・乾燥は粘膜の線毛運動を障害し炎症を起こしやすくします。埃やタバコはいかにも炎症を起こしやすそうです。直接の因子ではありませんが、うるさいところでの会話もよくありません。どうしても大声になります。