人前で堂々と話せるスピーチの練習方法
自己紹介が苦手という人が本当に「苦手」なもの
緊張する人、しない人
人前で話すとき、緊張する人もいれば、すらすら話せる人もいますよね。緊張はだれしもするものですが、実は「あがる」ことは防げます。「あがる」のは練習不足なのです
「これ以上ないほど、練習した!」
そう思えるほど練習をすれば、心地よい緊張感を持って舞台に臨む事ができるのです。
ということは、そもそも「あがって震えてどうしようもない」人は練習や経験そのものが不足している可能性が高いと言えるでしょう。では人前で話す前提で何をどう練習すれば良いのでしょうか。順に説明をしていきます。
まずは100文字程度の原稿を詰まらずに読む練習を
どんなに大したことがない内容でも、堂々と話せばすごい事のように聞こえる。そんなテクニックは確かに存在します。ただし、それが出来るのは「そもそも堂々と話せる人」限定。「人前で話すのが苦手で…」というスピーチ初心者がいきなり手を出せるテクニックではありません。ところが初心者ほど「簡単に上手く話せる方法」に飛びつきがち。話し方(スピーチ)のテクニックは、基本となる姿勢・発声・発音が出来た上で文章を詰まらずに読めるだけの頭の回転が必要になります。
国語の成績が悪かったし…頭の回転なんて…!
小学校や中学校の成績なんて関係ありません。あるとしたら基本的な漢字が読めるか読めないかくらいなものです。100文字程度の原稿を詰まらずに読めるというのは、頭の中に描いた自分自身の言葉を詰まらずに言葉として発することが出来るかどうかのバロメーターになります。まず原稿を見る、頭の中で読む、それを声に出してスラスラと読む。よほどの専門用語が並んでいるような原稿でもないのに、それすらままならない状態で「上手に話そう!」「相手に感動を与えよう!」というのは、むしろ聞いて下さる相手側に失礼です。「自己紹介が苦手」という方の大半は、そもそも文章を声に出して詰まらずに読む事自体が苦手な場合がほとんど。自己紹介を考える前に、新聞記事を声に出して読む練習から始めるのが最も建設的なのです。
自分が思う「大きな声」を把握しているか
大きな声なんて出さなくても発声と発音に間違いがなければ相手に伝わるものです。ただこれはあくまでも極論です。自分の持てる最大限の「大きな声」を出したことがあるかどうか。発声練習でそれが出来ているかどうか。自分の限界を知っているかどうか。それは自分が呑めるお酒の限界量を知る事と似ています。自分の身体全体を使った大きな声が出せるという前提があってこそ「大きな声を出さなくても伝わる声で話せる」のです。
発声練習は「発声方法を知っている人」にこそ意味があります。初めて行く話し方教室の最初でいきなり「発声練習しましょう~!あ・え・い・う・え・お・あ・お」と始まったところで、正直なんの練習にもなりません。合唱部の人たちは、発声方法を知っているからこそ歌う前に発声練習をするのです。それは歌うための準備運動。「何のためにするのか」という意識が欠落したまま声を出しても、喉を傷めるだけなのです。
そして、きっちりと発声練習を始めると最初の数日は声が枯れます。それは声帯が大声に慣れていないから。ということは、普段からしっかりと身体を使った大きな声を出せていなかったという事にもなります。大きな声が当たり前になってくると発声練習後に喉がガラガラする事もなくなります。
話し方(スピーチ)上手になりたければ、上手な人を真似る
話し方が上達しない人の最も分かりやすい特徴は、明確なお手本がいない事に尽きるでしょう。「あの人のようになりたい」といった目標があれば、そこに向かって練習もできますしモチベーションも保つことができます。目標が明確でないままでなんとなく「上手になりたいんです…」というのは、ゴール(頂上)の見えない山をひたすら登り続けるのと同じ。それがたとえ物凄く遠い目標であったとしても、近づくためには必要です。「あの人のようにはなれないけれど…」と尻込みする前に「あの人のようになるためにどのような努力が必要か」を考えて実行しましょう。
アナウンサーでも、声優でも、俳優でも、お笑い芸人でも、YouTuberでも。誰でも良いのです。一人でなくても構いません、複数人の良いところをかき集めて真似するのもひとつの手。ただ、スキルが追い付いてこないのであれば個別撃破で一人ずつ真似をしてクリアしていきましょう。カラオケでも一気にレパートリーを増やすより、1曲ずつ確実にモノにする方が歌い方にも差が出るのと同じです。
先ほど書いた100文字程度の原稿を「Aさんならどう読むかな?」「Bさんならこうするだろうな」と、まずしっかり詰まらないように読み込んでから真似をする。そうするといつしか100文字の原稿を詰まらずに読めるようになり、いきなり真似ができるようになります。
本当に苦手なのは人前で話す事?それとも頭の中を言語化すること?
自己紹介が苦手なんです…と小手先の話し方を学んだところで、考えている事を言語化できない以上はアドリブや突然の質問には対応できません。常に頭の中にある文章を言語化し、発音・発声できるようにすることで「自己紹介が得意」に変わります。
まずは100文字程度の自己紹介のテンプレートを用意しましょう。そこから徐々に内容を増やし、1分、3分、5分の自己紹介をその場に応じて選べるようにする事。そこに注力をすれば人前で話す事に苦手意識はなくなっていくでしょう。本当に苦手なのは「人前で話す事」ではなく「何を話していいのか分かっていない事」だという事実に、気が付きます。
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